マンツーマンDFは文字通りの非常にシンプルな守備戦術であるが、実際の競技フットサルの試合で用いて勝つのは簡単ではない。
だが、実際のところ個がある代表チームではかなり多用されている上、世界のトレンドとなっている守備戦術とも言える。
この記事では定位置守備でのマンツーマンDFについて徹底解説する。
なぜ?マンツーマンDFが流行っているのか?
守備の基本概念として複数ラインを構築というものがあり、今でも広く使われている。その複数ラインを構築する守備を攻略する攻撃の手法としてラインカットやボランチといった列を落ちる戦術が数年前トレンドとなった。そのボランチやラインカットに対抗する守備戦術として巡り巡ってマンツーマンDFが返ってきたと考えられる。
最近ではマンツーマンDFの攻略法としてブロック&コンティニュー(ピック&ロール)が流行っている。
マンツーマンの原則
各々がマークを捕まえる
FP4人各々が自分のマークを捕まえて、自分のマークに責任を持つ。
マン(人)ーマン(人)で負けないことが前提となっているDFのため、高い個の能力が求められる。
相手、自分、ゴールの順番で相手とゴールを結んだ直線上に立つ
ゴールを第一に守り裏をとられないことが原則なので相手、自分、ゴールの順番で同一直線上に位置どるのが基本である。
ただし、非ボール保持のピヴォへのマークは、インターセプトも意識した距離感と角度を意識する。
相手との距離感:裏をとられない距離
裏を取られない距離感は人それぞれ(個の能力に依存)だが、ワンアーム(腕一つ分)以上だと言われている。
悪い例
相手、自分、ゴールの順番で立てていても、相手との距離感が近ければ簡単に裏をとられてしまう。
足の速さではなく、ゴールに背中をむけているか、表を向けているかによる位置的な優位が大きい。
体の向きと視野:自分のマークとボールを同一視野で見れる向き
常に自分のマークとボールを同一視野に入れることで、目まぐるしく変わるピッチに状況を認知しなければマンツーマンで守ることは出来ない。
そのため、自分のマークとボールを同一視野で見れる向き、つまりボールと自分のマークの中点を見ることで自分、ボール、自分のマークの三角形を意識することが重要である。
もし同一視野で見れないのであれば首を振ることはマストである。
人によって個人差はあるが、物理的な間接視野の最大角度は180度、ある程度はっきと分かる角度は90~120度と言われている。
自分の顔の前に指を左右において、あらかじめ自分の視野を理解しておくことをおすすめする。
抜けてきた相手への対応
マンツーマンの守備ではマーク交換を行わず、抜けてきた相手にすべて付いていく。
ブロックorカーテン→マーク交換
ブロックorカーテンに対してマーク交換を行わずに対応すればオフェンスの意図どおり、マークを剥がされてしまうので、マーク交換を行うのが無難である。
マーク交換したらマンツーマンDFと言わないのではないかという議論をたまに耳にする。
確かに厳密なマンツーマンDFではないが、広義の意味ではマンツーマンDFと言えると考えられる。
トップカテゴリーの守備でマーク交換を絶対に行わないガチガチなマンツーマンDFはほぼなく、臨機応変にマーク交換は行うのが基本である。
1stDFがプレスにいけているとき:奪いにいくDF
ずっと相手に付いていくだけでは、ただ体力が消耗するだけなのでどこかでスイッチを入れて奪いに行く必要がある。
その一つの目安が1st DFプレスにいけているとき=ワンアーム以下の距離感で詰めれているときである。
パスラインの封鎖
本来青2番は自分のマークとゴールの間に立たないといけないが、1stDFがプレスにいけているので、残っているパスラインを封鎖しにいっている。
ダブルチーム
二人目のDFの距離感が近ければ二人で囲んで奪いに行くダブルチームが有効である。
1st DFがしっかりと裏とピヴォへのパスコースを切れていれば相手はそこにパスが出せないので自分のマークを捨てて問題ない。
ピヴォに対するダブルチーム
ピヴォあてされた後は基本的に全員がボールラインまで撤退するのがセオリーであるが、4人目のDF(相手フィクソの担当)は自分のマークを捨ててピヴォにダブルチームで奪いに行っても問題ない。
個で打開された時の守備組織の回復方法
旋回
マンツーマンDFは個で負けない前提のDFではあるが万が一、マークを剥がされて打開されてしまったときのために備えて応急処理の手段を持っておく必要がある。
前プレのマンツーマンDFで、ワンツーやパラレラ等で打開された場合、上図のように相手ピヴォをマークしていた選手がずれて対応する。
そうすると、ピヴォへのマークが居なくなるので、最短距離のDFが撤退してマークを担当し、結果的に3,4人がマークをそれぞれ一つずつずらしていき旋回する。
被カウンター対応
守備の回転が間に合わない場合はトランジション守備と同様の対応をするのが無難である。
上図の場合だと1vs2のトランジション守備の対応となり、最短距離の選手が守備のウィークサイドに撤退する。
プロフェッショナルファール
最終手段としてファールで止める選択肢も必ず持っておきたい。
6個目のファールを与えると第二PKを与えてしまうので、ファールカウントも頭に入れた上で選択する必要がある。
その他の陣形に対するマンツーマンDF
3-1だけではなく、4-0を含めた様々なDFに対してもマンツーマンは有効である。
しかし、クワトロに対してマンツーマンで対応して一度でも背後をとられればカバーリングが誰も居なくなってしまう可能性がある。
そのため、素人が安易にマンツーマンDFを常用するのは非常にリスキーである。
しかし、欧州の代表ではクワトロに対してもマンツーマンDFで対応するチームは少なからずいる。
まとめ
如何でしたでしょうか?
マンツーマンは特に何も考えずにやる人が多いかもしれませんが、思ったより奥が深いと思ったのではないでしょうか?
マンツーマン守備はすべての守備の基本であり、まず最初にマンツーマンDFに取り組むことで他の守備戦術に派生しやすく出来ます。
また、育成年代では個の育成という側面からマンツーマンDFをやらせることは非常に理にかなっています。
これを気に少しでもマンツーマンDFの良さを理解して頂けると幸いです。
最後まで記事を読んでいただき誠にありがとうございます。
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