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【概要】フットサル2人組の関係
2人組の関係を一言でいうと、 2人だけで相手守備の基準をずらして前進するための原則です。
フットサルにおけるグループ戦術は最小単位にすれば2人組になるので定位置攻撃の質は2人組の理解に強く依存します。
この記事を読むと、まず次の3点が分かります。
- 2人組の関係で何を目指しているのか
- ワンツーやパラレラやディアゴナルが、どういう前提で使い分けられるのか
- 各詳細記事をどの順番で読めばよいか
先に個別テーマを見たい場合は、以下から入るのがおすすめです。

フットサルの2人組の関係とは、2人のプレーヤーのみで局面を打開するため、2人の関係性を説いたものである。
フットサルのコート上には4人のフィールドプレーヤーが存在するが、4人のグループ戦術は2人組の関係の集まりであると考えることができる。
そのため、2人の関係は最も基本的な戦術であり、フットサル戦術を議論する上で避けて通ることはできない。
定位置攻撃のクオリティは2人組の関係のクオリティに依存する傾向が強く、トップカテゴリーでも2人組の関係の質を重視するチームが多い。
ピヴォとアラの関係など2人組の関係は多数存在するが、この記事ではアラとフィクソの短い横の二人組の関係を取り扱う。
2人組の関係は「味方との距離(短いor長い)×角度(横or縦)」で決定される。つまりアラとフィクソの関係では4つの種類(短い横の関係、長い横の関係、短い縦の関係、長い横の関係)が挙げられる。また、角度45度付近を斜めとして別カテゴリーで捉える方法もある。
ゴレイロとFP(フィールドプレーヤー)の2人組の関係を考えることもできる。特にクリアランス時はゴレイロとの2組の関係が非常に重要になる。またゴレイロが積極的に攻撃参加するチームでは、ゴレイロが十分に2人組の関係を理解している必要がある。欧州のチームではゴレイロがFPとワンツーしてゴールを決めるようなことも稀にある。
ここを押さえたうえで読むと、以降の個別アクションが「技の名前」ではなく「局面ごとの解決策」として理解しやすくなる。
冒頭で述べたように、2人のプレーヤーで局面を打開することを2人組の関係と呼ぶ。
まず初めに、2人組の関係を理解する上で知っておくべき前提知識を2つほど紹介する。

当たり前だが、局面を打開するにはボールを前進させる必要がある。
2人組の関係においてボールを前進させるには、片方のプレーヤーがバックドア(相手の背後を取る)を試みるしか方法はない。
また、バックドアを狙った際の動き方が複数ある。それが上図に示す条件分岐するワークフローだ。
2人組の関係では受け手が 相手DFと駆け引きして相手DFを剥がして数的優位を作るのが狙いのため、 受け手が主導となり、出し手は受け手の意図を汲み取る力が求められる。
この記事では、アラとフィクソによる横の短い2人組を扱う。
相手DFの位置を考慮すると、この2人組の関係から考えられる状況は以下の4つである。
- 近い(フィクソ)-遠い(アラ)
- 遠い(フィクソ)-近い(アラ)
- 近い(フィクソ)-近い(アラ)
- 遠い(フィクソ)-遠い(アラ)
この記事では、各状況ごとに取るべきアクションを詳しく解説する。

フィクソに相手DFからのプレスが掛かっていてアラにパスを出す局面。

相手のプレスを逆手に取って背後を狙いに行き、先程示したワークフローを意識してDFの背後を狙いに行く。
パラレラはスペイン語で平行を意味し、タッチラインと平行に走ることを指す。
また、この動きによって相手守備組織を崩す二人組の関係の総称のこともパラレラと言う。
パラレラには様々な種類があるが、距離が長いパラレラを ロングパラ 、短いパラレラを ミニパラと呼ぶ。

ボールを出す前から相手守備が外れているときはダイレクト(直接的)にパラレラで走って良いが、マークが外れていないときは、上図のようにディアゴナルのフェイクや緩急を利用して一気に相手マークを振り切るのが重要である。

パラレラの二人組の関係で崩せる条件は以下の2つである。
- パスの出し手の縦のコースが空いている
- パスの受け手が相手マークを振り切れている
この2つの要因が重ならないとパラレラは成立しない上、 受け手と出し手のタイミングや ボール(パス)の強弱と軌道も意識しないといけないのでシンプルに見えるが非常に難しい戦術である。

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縦のコースが切られているのに強引に出そうとすれば相手にボールを奪われカウンターを食らうリスクがある。
このような場合はパラレラをキャンセルして、少し中ドリをして対角のパス(バックドアまたはピヴォ当て)を狙うのが最善である。
仮にこの局面で対角のピヴォ当てに成功すれば、パラレラで抜けた選手が3人目の動きとして機能できる。
対角のパスも出せなければ赤3番に横パスするのが無難である。

ディアゴナル(ダイアゴナル)はポルトガル語で斜めの動きを意味する。
上図のような斜めの動きによって相手守備組織を崩す二人組の関係の総称をディアゴナルと言う。
パラレラのときと同様にボールを出す前から相手守備が外れているときはダイレクト(直接的)にディアゴナルで走って良いが、マークが外れていないときは、上図のようにパラレラのフェイクや緩急を利用して一気に相手マークを振り切るのが重要である。

ダイアゴナルの二人組の関係で崩せる条件は以下の2つである。
- パスの出し手に対して斜めのコースが空いている
- パスの受け手が相手のマークを振り切れている
斜めのパスラインはフライパス(ループ)を使えば確保できるが、パラレラと比べてパスの距離が長く、受け手も体の向き的にトラップが簡単ではないのが理由から、 成立条件はクリアしやすいがフィニッシュまで結びつけるのは簡単ではない 。

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斜めのコースは露骨に切られている場合は縦のコースが空くので縦のピヴォ当てまたはドリブルで前進する。
このとき個人戦術であるトンパ(コントラピエ)を活用すると滑らかに崩すことが出来る。

背後を狙ったが、相手DFが着いてきた場合は止まってボールを呼び込む選択肢もある。
相手守備を強引に2列目に押し込めるのと、ライン間を活用できる戦術的狙いがある。

この後アラがプレスにかけられている局面、フィクソ(遠い)-アラ(近い)で解説するが、ボールホルダーにプレスが掛かっている状態で抜けてしまってもパスが貰えないので、背後を狙う動きをキャンセルして水平サポートに入るのが最善である。
俗に言うフェイクの動きになる。

フィクソは相手DFと距離が遠く、アラが近い関係の時は抜けるのではなくボールホルダーをサポートするアクションを選択する。

フィクソからアラにボールを出したときが具体的によくあるパターン。

ボールホルダーにプレスが掛かってしまっているのに抜けても、裏へのパスラインは切られてしまってボール保ルーダーが孤立してしまう。
これはフットサル初心者に多く見られる悪い例であり、盲目的に抜けてしまう選手(チーム)に多い。

ボールホルダーと同じ高さ、もしくわマイナスの位置からサポートしてあげることでボールを受け、プレスが掛かっているのを逆手にバックドアで背後を狙うのが有効である。
このような崩しを俗にワンツーと言う。

アラは盲目的に裏に走るのではなく、相手がついてきているのであればキャンセルして足元でもう一度貰う。

相手DFがフィクソに食いついていれば次はフィクソが相手の背後をとりにいく。
このようにセンターレーンの選手が背後をとりにいくワンツーを中ワンツーと言う。

再び相手DFがついてきたらキャンセルしてもう一度足元で貰う。
このように 2人の選手間で連続的に行われるワンツーフェイク、パス交換を指す戦術的動作の総称をドゥワリダ(dualidad) と言う。
ドゥワリダは 二重性を意味する。

ボールホルダーを中ドリさせるサポートの手法として ブロックと カーテンが存在する。

ブロックとカーテンをするときは必ず タッチラインに背中を向けて行い、コート全体を見渡しながらサポートすることを意識する。
これによりピサーダでもう一度ボールを受けることが可能となる。

相手DFの進路に立ってお邪魔虫になることで味方をサポートするアクションをブロックと言う。

味方と相手DFの間を通ることで一時的に味方へのプレスを弱めるアクションをカーテンと言う。

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アラ(遠い)-フィクソ(近い)のときと同様にアラが相手DFの背後を狙いに行く。
このようにアラが高い位置をとって背後を狙おうとする駆け引きは、自陣ではなく敵陣で活用されるケースが多い。
詳しくは↓の記事をご参照ください。

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上図は受け手も出し手(アラもフィクソ)も相手DFに詰められて、完全にプレスがはまっている局面を表している。

盲目的にブロックorカーテンをやってしまう人にありがちな悪い例。
このように詰められている局面で味方に寄ってしまえば、そのまま相手DFにジャンプ(マーク交換)されてボールを奪われてしまう。
直接ボールを受けれる可能性は低いが、もし相手DFを引き連れることに成功出来れば横のパスコースが空く。
逆に自分のマークを引き連れることができず相手DFに残られた場合、ボールホルダーが囲まれてしまうリスクがある。

相手DFを引き連れたことで空いたパスコースを活用する。

横パスが通れば最初に抜けた赤1番が3人目の動きとして機能できる。

一か八での試みになるが、DF2人の間(ギャップ)から顔をだしてDFラインの間でボールを受ける打開策がある。
ライン間にパスを通せずカットされてしまえばカウンターを食らいピンチになってしまうが、逆に成功すればチャンスになる。
ボールホルダーは少し中にドリブルしてパスラインを確保してアンクルパスをするイメージで間を通すのが良い。

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背後を狙う動きを一歩入れてからもう一回足元で受けることで瞬間的にフリーを作り出せる。
これによりシンプルなワンツーによる打開を試みることが出来る。
逆に相手DFがフェイクの動きに引っかからなければ無意味なアクションとなる。

相手守備の2ndDF(青1番)がボールラインより前には出ないような守備戦術を採用している場合、マイナスサポートすることでパスラインを確保出来る。
2ndDFがボールラインより前に出ない戦術?
DF複数ラインを構築する戦術(守備のトライアングル)を採用している場合、3rdDFがフロートしてカバーリングに入るため飛ばし(アラアラ)のパスを出させないため、2ndDFはボールラインまで撤退させて飛ばしのパスを牽制させるのが一般的である。

相手がマンツーマン気味であるのにマイナスサポートしても、そのまま対応されてはまってしまう。
盲目的にプレーするのではなく、相手守備の特徴を踏まえて上で決断することが重要である。

このように幅約5mnの同じレーンに2人入った場合は縦の2人組の関係(短い)の考え方に移行させる。

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長い縦の2人組はピヴォを採用する戦術では必要不可欠なグループ戦術である。

相手を意図的に引きつけてから抜けることで相手のプレスを逆手に取って背後を狙う。
極限まで引きつけてからパスをする場合は アウトサイドパス や ピサーダ が有効である。

パスを出してから、相手に向かって走り駆け引きして背後を狙う。
フットサルでは一番良くあるパターン。

アラが高い位置をとってアラが高い位置で駆け引きすることも可能である。

- 10m×20mの縦長コートを幾つか作る
- マーカーでゴールを作り、入ったらゴールで勝ち残り
- ゴールを入れられたら方はドリブルインで次の新しい組が入る
- 二人組の関係を意識
- ゴールを試合中のピヴォだと意識して常に狙う
- 守備はゴール(ピヴォ)へのコースを切る
この練習はゴレイロを必要としないため、ゴレイロのアップ時におすすめの定番メニュー。
フットサルにおいて二人組の関係はどの局面でも生まれるため、非常に重要である。
二人組の関係では、味方と相手との距離を考え、以下の4つの場面を認識することから始まる。
- パスの出し手が相手DFから近く、パスの受け手は相手DFから遠い
- パスの出し手が相手DFから遠く、パスの受け手は相手DFから近く
- パスの出し手が相手DFから近く、パスの受け手も相手DFから近い
- パスの出し手が相手DFから遠く、パスの受け手も相手DFから遠い
それぞれの場面で適切なプレーを選択することで、フットサルのプレーが上達することは間違いない。
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