基礎

【フットサル戦術】オーバーロードとアイソレーション

フットサルをある程度やっている人で「アイソレーション」という言葉を知らない人は少ないのではないのだろうか。

しかし、「フットサルにおける1vs1」が「アイソレーション」と同義であるという間違った認識をしている人が見受けられる。

またパワープレーの戦術として「オーバーロード」という戦術が存在するが、この言葉をそもそも知らない人が多い印象を受ける。

結論から言うと、オーバーロードとアイソレーションは対義語であり、常に同時に発生する現象である。

つまり、この二つの用語は表裏一体の関係にあるので、同時に押さえておかないといけない戦術である。

今回は、フットサル以外の球技(サッカーやバスケットなど)でも重要視されている戦術、オーバーロードとアイソレーションについて解説する。

オーバーロードとアイソレーションとは

オーバーロードとアイソレーション クワトロ

オーバーロード(overload)とは負荷のかかり過ぎている状態を意味し、ある一定のゾーンに人を密集させる状態を指す。

一方、アイソレーション(isolation)とは孤立の状態を意味し、ある一定ゾーンに人を孤立させる状態を指す。

上図のようにオーバーロードとアイソレーションは試合中同時に発生し、どのゾーンで区切るかによってその局面におけるオーバーロードとアイソレーションの捉え方は変わってくる。

つまり、その局面をオーバーロードとアイソレーションの状態であるかは人それぞれなのである。

オーバーロードとアイソレーション 偽ピヴォ

このような3 on line(1 line)+1の構成もオーバーロードとアイソレーションの状態と見て取れる。

戦術的意図

オーバーロードとアイソレーションは表裏一体の関係であるため、片方の戦術的意図だけでなく、両方押さえるおくことは非常に重要である。

何故なら、攻撃がうまくいかない時にボールを逆の状態にあるゾーンに展開することで変化を起こし、相手DFに綻びを生じさせる可能性があるからである。

オーバーロードの戦術的意図

オーバーロードの主な狙いは次の4つである。

  • 局地的数的優位を作る
  • 選手間の距離が近くなりロンドのような細かいパス回しを可能とする
  • アイソレーションサイドへの展開
  • 被カウンター対策
オーバーロードとアイソレーション PP

オーバーロードは主に上図のようなパワープレーで重要視される戦術である。

これは、全体的数的優位(5vs4)から自ずとどこかに局地的数的優位が発生する法則を利用する狙いがある。

局地的数的優位(4vs3)でロンドをするような感覚で細かくパスを回しながらゴールに迫る。

逆サイド(アイソレーション)のDF(青2番)がオーバーロードサイドを警戒して流れてきたり、ボールウォッチャーでマークを見失っていたら、アイソレーションに展開してゴール前での一対一を作り出す。

実際の試合ではバックドアで相手DFの背後をとり、ファー詰でゴールするようなケースが多い。

パワープレーのオーバーロードは初期配置ではなく、サインプレーなどを使って逆サイドの選手が流れてくることで発生させることが多い。

ボールをロストしてもすぐに奪い返しにいけるためパワープレー 返し(被カウンター)対策にもなる。

アイソレーションの戦術的意図

アイソレーションの戦術的意図はある一定のエリアに選手を孤立させることでスペースを作ることである。

オーバーロードとアイソレーション 2-1-1

上図のように逆サイドに人が捌けることでボールホルダーの前方にスペースを確保し、1vs1を行わせることを狙いとすることが多い。

定位置攻撃のアイソレーション

定位置攻撃のアイソレーションは大きく次の3つに分けられる。

  • アラのアイソレーション
  • フィクソのアイソレーション
  • ピヴォのアイソレーション

アラのアイソレーション

アラのアイソレーションの陣形は2-2(2-0-2)と2-1-1の陣形がある。

2-2(2-0-2)

2-2システムは4人全員が孤立(アイソレーション)する特殊な陣形。

フットサル ボックス 2-2
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2-1-1

アラのアイソレーションでは一番オーソドックスな陣形。

味方アイソレーションに対する相手守備のカバーリングの意識が高いときは、オーバーロードしている3人が相手守備の死角(背後)に位置することで生まれる位置的な優位性を活かすことが重要である。

上図のように相手守備の背後の味方に刺せれば一気にチャンスとなる。

この対角のパスを出せる能力がアイソレーターには求められる。

フィクソのアイソレーション

オーバーロードとアイソレーション フィクソ

1-3システムでフィクソのアイソレーションはボールを失えば非常に危険だが、1vs1に絶対的な勝率を誇る選手がいる場合に有効である。

上図のような自陣で1vs1するフィクソのアイソレーションとハーフで守る相手に対してハーフライン付近でフィクソが1vs1するパターンがある。

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ピヴォのアイソレーション

反転してシュートまでいけるような強力なピヴォが居る場合、3-1(3-0-1)でピヴォあてしてから意図的にピヴォに関わらないで孤立させるのも有効である。

まとめ

今回は、フットサル以外の球技でも使われる非常に有名な戦術、アイソレーションとオーバーロードについて解説しました。

まずは用語をしっかり押さえて戦術的意図を理解しましょう。

アイソレーションでドリブル突破を図る場合は、全員がそれを理解してスペースをあけるポジショニングをとることが非常に重要です。

オーバーロードは少し難しい概念かもしれませんが、サッカーなどの人数が多いスポーツではアイソレーションと同じくらい重視する概念です。

いずれにせよ、この二つの用語は対義語で表裏一体の関係にあるので同時に押さえてしまうのがベストでしょう。

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最後に

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