フットサル初心者にとって「特殊局面」はあまり聞き馴染みがなく、なんのことがさっぱり分からないのではないのだろうか。
結論から言うと特殊局面とはレッドカード退場局面(4vs3)とパワープレー(5vs4)のことを指す。
レッドカード退場局面
レッドカード退場局面とは文字通り、レッドカードを提示されてFPが一人退場した局面である。
レッドカードが提示された場合
フットサルにおいてレッドカードが提示された場合、サッカーと同様その選手は退場を命じられその試合に関与できなくなる。(ベンチに居るのも不可)
退場者を出したチームは最大2分間1人を失ったFP3人とGLの4人で闘わないといけない。
2分以内にゴールを決められるor2分間守りきれば失った分のFPを1人追加することが出来る。
レッドカードを出したら試合終了までずっと1人少ない状況で闘わないといけないと勘違いする人がいるが、それは間違いである。
どういう時にレッドカードが提示されるのか?
- 二枚目の警告(イエローカード)
- FPがハンドで本来入ってたはずのゴールを阻止
- ゴールを意図的に動かしてゴールを阻止
- 著しく不正なプレー(人をかむ、つばを吐く、暴力)
- 攻撃的な、侮辱的な、または下品な発言や身振りをする
2020/2021のルール改正によりゴレイロと1vs1の状況でFPが後ろ(横)からファールを犯して止めた場合はレッドカードではなくイエローカードが提示されるようになった。
フットサルにおいてゴレイロとの1vs1を決めることはサッカーほど簡単では無いため決定機の阻止とは言い難いのがこの改正の理由である。
逆に、無人のゴールにシュートする相手選手をファールで止めた場合はレッドカードになる。
2分間をどう使うか?
攻撃は早めに点をとり、守備は2分間守り切るのが正解という固定観念があるが、相手との点差や選手のリソースによっては必ずしもそれが正解とは限らない。
もし勝っているのであれば攻撃においては、あえて2分間最大限ボールを回し続けて終盤で点を決めることで、試合時間を進めるのも有効である。
逆に負けているチームはがむしゃらに2分間無失点で守り抜こうとするのではなく、簡単に失点を許してFPを1人戻して残りの時間で逆転を図ったほうが良い場面もある。
試合の状況を見ながら戦略的にチームで共通意識をもって取り組むことが重要である。
パワープレー(PP)
パワープレーとは?
サッカーにおけるパワープレーはDF等の競り合いに強い選手をFWに配置し、ロングボールを蹴る戦術であるのに対し、フットサルにおけるパワープレーとはゴレイロの選手が攻撃参加し、5人で攻撃する戦術である。
パワー(Powr)とプレー(Play)の頭文字をとってPPをと略して言うこともある。
足元の技術があるゴレイロであれば、そのまま攻撃参加する場合もあるがフィールドプレーヤーがゴレイロのユニフォームを着用して攻撃時だけゴレイロと交代して行うことが多い。
5vs4の数的優位の状況を作れる一方、ゴールが空いているのでボールを失った場合は無人のゴールにシュート(パワープレー返し)され失点するリスクがある。
パワープレーをやるべき状況
パワープレーは具体的にどうのような状況で行うべきなのだろうか?
具体的には以下の8つが挙げられる。
- 負けているとき
- 相手のリズムを崩したいとき
- ファウルカウントが5つ貯まったとき
- ゴレイロの足元の技術が高いとき
- 相手が退場したとき
- ゴレイロが居ないとき
- メンバーが少ないとき
- 試合時間を消費したいとき
負けているとき
パワープレーが行われる一番よくあるシチュエーションである。
Fリーグではビハインドのチームが大抵、試合終盤にパワープレーを行っている。
試合終盤の苦しい局面で訪れることが多く、この局面でのパワープレーは非常に見応えが有り、フットサルの真骨頂とも言える。
相手のリズムを崩したいとき
基本的にパワープレーは負けてる時にゴールを狙うオプションとして使われることが多いが、勝っている時でもボールの支配率を高めたり、相手のリズムを崩したりなどの目的でも使われることがある。
特にパワープレーの守備を日頃から練習していないアマチュアのチームが相手であれば非常に有効になり得る。
ファウルカウントが5つ貯まったとき
ファウルカウントが5つ貯まってしまい、次ファウルをしたら第二PKを与えてしまう局面でパワープレーを行うことでファウルを犯すリスクを減らす目的でパワープレーを行うこともある。
ゴレイロの足元の技術が高いとき
ゴレイロの足元の技術が高ければ選手交代をしなくてもすぐにパワープレーを行える。
自陣キックインから回避を目的に幅をとったゴレイロがいる逆サイドにサイドチェンジしてそのままゴレイロがドリブルで持ち上がりフィニッシュまでいく疑似パワープレーが世界のトレンドになりつつある。
相手が退場したとき
レッドカードが提示され相手チームが一人退場した局面では4vs3で数的優位になるが2分以内に決めきらないと相手チームが4人に戻ってしまうため早めに仕留めたい場合や、1分経っても中々決まらない場合にパワープレーを開始して5vs3でゴールを狙う場合もある。
ゴレイロが居ないとき
消極的な理由ではあるがアマチュアのチームであればゴレイロが怪我や用事で不在のことも少なくない。
その場合は、フィールドの選手がゴレイロをやらざるを得ないため、定位置攻撃を行わず終始パワープレーを行うことでボールポゼッション率を高め、シュート被弾を減らすことが出来る。
メンバーが少ないとき
先ほどに続いてこちらも消極的な理由にもなるが試合当日メンバーが5人程度しか揃わず、交代選手がほとんど居ないような場合はパワープレーを行う方が体力的な面で得策になり得る。
ボールを保持し続ければ守備をする必要がなく、定位置攻撃に比べればポジションの移動が少ないので少ない運動量(モビリティ)で試合を進めることが出来る。
試合時間を消費したいとき
パワープレーの守備は基本的に一定のプレスラインを決めてそれより前ではプレスをかけないことが多いため、後ろでボールを回して時間を使うのに有効である。
特に前半or後半の残り時間が少ないときはゲームを閉める目的でPPを使うのは非常に有効である。
なぜ、特殊局面と呼ばれているのか?
結論、文字通り特殊な局面であるからだ。
どのような点で特殊かというと次の2点である。
- 数的不均衡(数的優位、不利)の状況
- モビリティ(移動)が少ない
特にモビリティが少ないのが大きなポイントで、同じ数的不均衡の局面であるトランジションと切り分けるのはここが大きなポイントである。
これらの要素から、この局面における攻守のエッセンスはほとんど同じになる。
そのためこの2つの局面(レッドカード退場、PP)はセットで考えることが望ましい。
- ゴールを第一に狙う
- 一つ飛ばしのパスを狙う
- 守備の回転を遅らせる
- ゴールを第一に守る
- 一つ飛ばしのパスを切る
- 守備をコンパクトにし回転させる
基本的にはこの目的を達成するために色々な手段(戦術)を用意するというのが王道な組み立て方である。
まとめ
近年はパワープレーを試合終了間際の負けているとき以外にも活用するチームが増えてきて、パワープレーに対する考え方が変わってきています。
ゴールを空けてリスクが伴うためチームとして導入するのを敬遠されがちですが、思考停止で選択肢から無くすのではなく、まずは少しずつ練習してみることをおすすめします。
- 特殊局面とはレッドカード退場局面とパワープレーのこと
- 退場局面では2分以内にゴールを決められるor守りきれば1人戻せる
- パワープレーは負けているとき以外にも使うべき局面がある
- 特殊局面は数的優位かつモビリティが少ない局面で、攻守のエッセンスは同じ
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